作成日:2024/02/08
所定内賃金に固定残業手当は含まれるか? 〜社会保険適用拡大〜
みなさんご機嫌よう
今回は、社会保険適用拡大について取り上げます。
現在、被保険者数が101人以上の企業等において
以下の要件を満たす短時間労働者は社会保険に加入することとなっています。
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8.8万円以上
・2か月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
令和6年10月からは、被保険者数51人以上の企業等において
上記の要件を満たす短時間労働者は社会保険に加入することになります。
上記のうち「所定内賃金」には以下のようなものは含まれません。
・賞与など(1月を超える期間ごとに支払われる賃金)
・残業代など(時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金)
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当など(最低賃金に算入しないことがさだめられた賃金)
さてここで、疑問に感じていたことを日本年金機構に確認しました。
「所定内賃金」にいわゆる固定残業手当は含まれるのか?
固定残業手当とは、実際行った時間外労働時間数にかかわらず
毎月定額の割増賃金(残業代)を支給するというものです。
固定残業手当に含まれる時間外労働時間数を超えて
時間外労働を行った場合は、超えた額を別途支給する必要があります。
例えば、1時間あたりの賃金が1000円の場合ですと
(ここではわかりやすくするため1000円とします。)
時間外労働に対する割増賃金は、1250円/時間となります。
仮に毎月20時間分の時間外労働に対する割増賃金として
固定残業手当を支給する場合だと、
1250円×20時間=25,000円が固定残業手当となります。
仮に時間外労働が0時間であっても、毎月25,000円を支給します。
もし時間外労働が30時間あった場合は、
30時間−20時間=10時間分の割増賃金(残業代12,500円)を別途支給することになります。
(固定残業手当に関する解説はおわり)
この固定残業手当は、社会保険適用拡大における「所定内賃金」に含まれるのか?
という疑問を持ちました。
所定外労働に対して支払われる賃金とはいえ、毎月固定的に支払われる賃金です。
随時改定(月額変更届)においては、固定的賃金として取り扱われ、
随時改定の対象となります。
そこで日本年金機構に確認したところ、
毎月定額の賃金とはいえ、所定外労働に対して支払われる賃金であるため
社会保険適用拡大における短時間労働者の要件である「所定内賃金」には
含まれないとの回答でした。
既にご理解されている方もいらっしゃるかもしれませんが、
備忘録として書き留めておきます。